インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎とは、インプラント手術を行ったあと、患者さんの歯ぐきに炎症が起きたり、あごの骨が細菌によって溶かされてしまう病気です。代表的な症状としては歯ぐきの腫れや出血のほか、症状が進むと歯ぐきから膿がでたり、最終的にはあごの骨が溶けて埋め入れたインプラント体(フィクスチャー)が抜け落ちてしまうこともあります。インプラント周囲炎は上記のように歯周病と非常に似た症状を発症するのが特徴です。このため、手術後のインプラント周囲炎の発症を防ぐためには歯周病を予防するのと同様に患者さんがご自身でしっかり毎日のセルフケアを行い、同時に歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが重要です。
インプラント周囲炎を防ぐためのセルフケア
インプラントは歯の部分にあたる人工歯は陶器製のセラミックや人工ダイヤモンドのジルコニアからできており、虫歯にかかることはありません。しかし、虫歯にならないからと言って手術後に歯磨きをしないでいると埋め入れたインプラントと歯ぐきの境目にある歯周ポケットにプラーク(歯垢)や汚れが溜まりやすくなります。すると、歯周ポケットに溜まったプラークや食べかすによって歯ぐきに炎症が起きてしまい、インプラント周囲炎を発症するケースもあります。このため、インプラント周囲炎を防ぐためには第一に毎日の歯磨きを欠かさずに行うことが大切です。歯磨きはあまり強い力でゴシゴシと磨いてしまうと歯ぐきを傷つけるおそれがありますので、ブラッシングのときには軽い力でペンを持つように歯ブラシを持ち、やさしく磨くことを心がけましょう。歯磨きの際には歯だけではなく歯と歯ぐきの境目にある歯周ポケットの溝の中もしっかり汚れを落とすようにしてください。歯周ポケットを磨きときには歯ブラシの毛先を歯周ポケットに対して斜め45度の角度で当ててあげると毛先が歯周ポケットに入りやすくなり、中の汚れをかきだしやすくなります。
歯科医院での定期検診も忘れずに
インプラント周囲炎を防ぐには毎日のセルフケアを欠かさずに行うとともに、歯科医院で定期的にメンテナンスを受けることが大切です。インプラント手術後のメンテナンスの頻度は患者さんの症状によって異なりますが、おおむね手術後、1年に2~3回程度のペースでメンテナンスを受けることでインプラント周囲炎の予防と埋め入れたインプラントを長持ちさせることにつながります。