親知らずはどんな歯
親知らずとは人間の歯のいちばん奥に生えてくる歯であり、大臼歯のさらに奥に生える歯を指します。正式名称は第三大臼歯と呼ばれ、もっとも前にある中切歯から数えると8番目にあるのが特徴です。通常、永久歯は乳歯が抜けて永久歯に生え変わる6歳~12歳前後の混合歯列期に生えるのが普通ですが、親知らずに関しては混合歯列期に生えてくることはまれであり、20歳前後、もっとも遅い時期に生えてきます。
親知らずは英語でWithdom Teeth(智恵の歯)と呼ばれ、こちらは「物事の分別が分かり始める20歳前後に生えてくる歯」が名前の由来となっています。ちなみに日本語で親知らずのことを「智歯」と呼ぶこともありますが、これは英語のウィズダムティースにちなんだ呼び名です。日本名の親知らずは昔は寿命が短く、20歳前後になったときにはすでに両親とも他界していることが多かったため、このような名前がつけられたと言われています。
親知らずは危険がいっぱい
親知らずは20歳前後ごろに生えてくる、人間の歯の中ではもっとも遅い時期に生える歯のひとつです。親知らずはそのまままっすぐ生えてくるケースも多いのですが、歯ぐきの中に埋まったままの状態だったり、斜めに生えてくる、一部だけ生えてくるなど、異常な生え方をすることも少なくありません。異常な生え方、特に歯ぐきの中に埋まっている親知らずを埋伏歯(まいふくし)と呼びます。
親知らずは綺麗にまっすぐ生え、前の奥歯を押さないようであれば歯磨きさえきちんとしていれば問題ありません。しかし、斜めに生えてきた親知らずが前の奥歯を押してしまったり、一部分だけ生えている親知らずが歯ぐきの中で前の奥歯を押している、または、親知らずが曲がって生えているためにきちんと磨くことができない、といった形状をしているとむし歯になりやすく、また、奥歯を押してしまうことで歯並びの乱れの原因にもなってしまいます。
親知らずの抜歯は口腔外科へ
親知らずを抜歯する際にはまっすぐ生えている親知らずであっても、口腔外科の看板をかかげる歯科医院で診療を受けることをおすすめします。その理由は親知らずは歯ぐきの中に埋まっている場合、抜歯を行うには歯ぐきの切開が必要となり、口腔外科でなければ対処できないためです。また、親知らずは歯の根っこが深く育っているケースが多く、抜歯の際にあごの中の血管や神経を傷つけてしまう可能性が高いため、抜歯には細心の注意をもって臨む必要があります。